第76回ケア塾茶山特別編のご案内

梅雨明け頃に聞こえ始めたセミの声は炎暑をより一層厳しく感じさせます。セミたちも異性の注意を引こうと必死なのです。

そういえば、アイヌ民話で「セミばあさん」というのがあります。津波に日常を奪われて泣き止まないおばあさんは神さまたちに救われてセミに変えられ、夏のあいだだけ泣くようにと神さまのお告げを受けたという言い伝えがありました。

暑い日が続きますが、くれぐれも体調にはお気を付けください。

 

さて、今回の第76回特別編は、ゲストにダンサー・振付家の砂連尾理さんをお迎えし、ケア塾茶山の進行役を務めてきた西川勝さんと、臨床哲学への歩みをめぐって語るスペシャルナイトです。会場もふだんの茶山kpハザから京都御所西のこもれび書店イベントスペースに移して行います。

お二人の付き合いは、2010年の春に舞鶴赤れん倉庫で上演された「とつとつダンス」に始まるのです。砂連尾さんが舞鶴市にある特別養護老人ホーム「グレイスヴィルまいづる」の入居者たちと創り上げたこのダンス作品に触れた西川さんは、認知症と呼ばれる人との素晴らしいダンスに圧倒され、その経験が自分の認知症コミュニケーションに関する考え方を根本からくつがえすものだったという。

 

日時:2024年8月12日(月・祝)19:00-20:30

会場:こもれび書店

 

詳細およびチケットの購入はPeatixの案内ページをご覧ください。

https://haza240812.peatix.com/

 



2024年4月8日、第73回ケア塾茶山は「飢えの贈り物」を読みます

雨天が続きますね。

そういえば、晩唐の詩人・杜牧に、「清明」と題する七言絶句があります。

 

清明時節雨紛紛 清明の時節 雨紛紛

路上行人欲断魂 路上の行人 魂を断たんと欲す

借問酒家何処有 借問す 酒家 何れの処にか有る

牧童遥指杏花村 牧童 遥かに指す 杏花の村


4月に入ると、中国の江南地区では前線降雨が活発になり、広範囲の降水は10日ほども続く。雨の降りしきる道をゆくひとりの旅人......

そんな春霖に濡れながら、晴れて桜の満開が一層楽しみですね。

 

第73回のケア塾茶山は引き続き『体の贈り物』の第五章「飢えの贈り物」を読みます。

ご参加を心よりお待ちしております。

なお、ココペリのウェブマガジンnoteでは、"THE GIFTS OF THE BODY"の表紙を飾る写真についてご紹介しております。ぜひご覧ください。

note.com

 

 

2024年3月11日、第72回ケア塾茶山は「肌の贈り物」を読みます。

床に転がる猫の抜け毛が春を告げてくれています。

暖かくなり、次回からは画面越しだけでなく、会場(茶山kpハザ)でみなさんと触れ合うことができればうれしく思います。第四章「肌の贈り物」を読みます。

 

今回のチラシでいくつかのインタビュー記事をご紹介しています。興味のある方は、ぜひ元記事をご覧ください。

2024年2月12日、ケア塾茶山第71回は「涙の贈り物」を読みます

 私は社会福祉士育成コースで特別養護老人ホームで実習を受けたことがあります。入浴現場での実習カリキュラムが組まれていて、それは男性職員まじりの女性利用者の入浴介助というものでした。

 午前の時間は比較的に要介護度の高い入居者の入浴になっています。二階の風呂場で、みな入浴用車いすに薄着になって座り替え、脱衣所と呼ぶべきスペースに行列を成しています。ここで更衣介助担当が服を脱ぐのを手伝い、一人ひとりを裸の状態にして機械浴担当に引き継ぎます。そして私はその衣服着脱の補助スタッフとして配属されていたのでした。

 突っ立っている私を見て、誰?と言わんばかりに車いすに身を縮める人もいれば、なりふり構わずさらけ出す人もいました。職員のお手伝いをいつも遠慮しようとしている新規の入居者が後ろに並んでいます。なんだか今日はやけにおしゃべりだなという感じで、順番が回ってきてパンツを脱がしてあげたら、便がもれていた光景も目にしました。

 昼間に孫のように可愛がってくれていたお婆ちゃんたちは、いま目の前で一糸まとわぬ姿にされていきます。私は視線の置き場に困っていました。顔が紅潮している自覚はあったのですが、風呂場の熱気のせいなのか、早まる鼓動を聞こえなくなっていました。

 すると、一人のお婆ちゃんが目に留まりました。いつも首が倒れて車いすに座っているような人で、誰かと軽い会話でも交わしているところを見たことがなく、レクリエーションのときもごはんのときも、こうして1m先の何かをじっと見つめてばかりいるような人でした。

 勇気を振り絞った私は裏声で「服脱ぎますね」と声をかけて手を伸ばしていったら、お婆ちゃんは肘で私の手を払おうとし、自ら両手で肌着の裾を必死につかんでいました。彼女は恥ずかしかったと思うのですが、私はそれ以上に自分が恥ずかしかったのです。

 

 

 という作文をケア塾茶山の参加者が書いてみました。

 第70回「充足の贈り物」のなかでも、お風呂のお手伝い、羞恥心の話が出ていました。ケアの現場では避けて通れない課題でもあります。

 遠い記憶を辿れば、思い出した人はいませんでしたか。その人の声、その人の顔はもう鮮明に覚えていないかもしれません。ところが、その人は男なのか女なのかはいつまでたっても忘れることはありません。それは我々人間の性に対する原始的な認知なのだという説を聞いたことがあります。

 認知症を患い、一見閉ざされた世界のなかで時間を過ごしているかのように見える高齢者女性でも、自分の裸体を初見の異性職員に見られるのを固く拒みました。そこに強い意志が存在していることに気付かされたのでしょう。

 

 前置きが長くなりましたが、こうして良い本を読み、その文章の書き方を学び、自分らがやってきたケアに対して、新たな見え方を働かせてほしい。それを今までとは違う書き方で世に出すことで、障害者の日々の暮らしをもっと豊かなものにしていく、ひいてはケアのあり方というものをそういう文脈以外の人にも伝えられるような力を培ってほしいという願いを、進行役の西川勝さんからケアの未来を担う私たちに託されました。

 次回は「涙の贈り物」を読みます。ご参加心待ちにしております。

 

 

2024年1月8日、ケア塾茶山は第70回を迎えます

明けましておめでとうございます。

本年も何卒よろしくお願いいたします。

 

2023年12月11日、第69回のケア塾茶山から、レベッカ・ブラウンの『体の贈り物』を読み始めています。

全身で相手を感じたい。進行役の西川勝先生にも多大な影響を与えたというブラウンのタッチが心に染みてきます。そして、ケアの未来を担う若者たちに、先生からの想いが託されたような、そういう温かい雰囲気に包まれた回でした。

 

次回のケア塾茶山は2024年1月8日18:30から始まります。

ご来塾を心よりお待ちしております。